どんな社会になっていくのだろうか?
- shinichiro honma
- 2021年5月28日
- 読了時間: 5分
「実質的失業者」
「パート・アルバイトの中で『実質的失業者』は、女性で103万人、男性で43万人と推計
(野村総合研究所2021/03/01)」
2020/12の同調査からの2か月間で1割強、「実質失業者」が増えたことになる。
ここで言う「実質失業者」は、一般的に、統計上の「失業者」、「休業者」に含まれない。
※パート・アルバイトのうち、「シフトが5割以上減少」かつ「休業手当を受け取っていない人」を「実質的失業者」と定義(野村総合研究所)
「完全失業者」
厚労省が2021/03/30に発表した統計によれば、有効求人倍率は1.10倍、前年度と比較して0.45ポイント落ち込んだ。第一オイルショック後の1974年度以来46年ぶりの落込み率となっており、新型コロナウィルス感染拡大による経済活動の停滞が雇用環境に与える影響の厳しさを物語っている。また、総務省発表の労働力調査によれば、完全失業率は2.9%と前年比0.6ポイント上昇している。
完全失業者数が36万人増の198万人に膨らんだ。まさに大失業時代の到来といえよう。
また、一年以上失業状態者が55万人。年齢別では、最も多いのが「23~34歳」で28万人。「45~54歳」が26万人。「35~45歳」が23万人となっている。
※完全失業者は失業した人のうち、仕事があればすぐに就職でき、求職活動をした人を指す。しかし、再就職を希望してもコロナ禍では満足な求職活動ができない人もいて、いわゆる“働き止め”(CGO編集部)の人は完全失業者に含まれず、現在数十万人に上るとみられている。
「実質的失業者」は、それには含まれない。
「給付の仕組みを知らない生活困窮者」
さらに、調査によれば、「実質的失業者」のうち、「シフト減でも休業手当を受け取れること」や「新型コロナウィルス感染対応休業資金・給付金」のことを5割が知らないと答えたという。
調査に回答した者ののうち、女性の7割強、男性の8割が「休業手当を受け取っていない」、と回答した。また、勤め先から休業手当を受け取れない場合、労働者本人から申請できる「休業支援金」を知らなかった(今回初めて知った)人の割合は、男女とも半数に上っている。
さらに、休業支援金を知らなかった「実質的失業者」のうち、「今すぐにでも支給を受けたい」と回答した人は、女性で40.2%、男性で47.0%にのぼった。
「実質的失業者」のうち、女性で5割、男性で6割が「新しい仕事を探したい」と希望し、うち8割が、現在と異なる職種への転職を希望または許容しているという回答だった。
また、仕事をどのように探したかを複数回答で確認したところ、「民間の求人サイト・アプリ」と答えた人が最多だった(女性29%、男性34.9%)。
緊急事態宣言が長引く中、「完全失業者数」「実質的失業者」ともに、さらに、増加していると考えられる。
生活困窮者の増加と顕在化(もともとある貧困ふくめ)への対応は急務だ。生活困窮に直面する失業者、パート・アルバイト就業者にたいする支援対策、周知の徹底をおこたってはならない。
「各種支援策の認知・利用を促し、早急かつ確実に経済支援を届けることが重要です。加えて、希望者には新たな場で就労収入を得て生計を再建・維持できるよう、労働移動(転職)を促す支援策の拡充が急務と考えられます。」(野村総合研究所)は、当然だ。
「パート・アルバイト者の平均月収」
厚労省の毎月勤労統計調査によれば、パートタイム労働者の平均月収は98,502円。医療福祉分野で113,929円(平成30年5月)となっており、専門的な知識や資格が賃金に反映されているとみられている。
「富裕層・超富裕層」
一方で、日本の富裕層の推移をみていくと、前回推計(2017年)より増加し、2005年以降最多となっているという(野村総合研究所)。
純金融資産保有額が1億円以上5億円未満の「富裕層」、および動5億円以上の「超富裕層」を合わせると132.7万世帯。内訳は、富裕層が124万世帯、超富裕層が8.7万世帯。
富裕層、超富裕層の世帯数はいずれも、安倍政権の経済政策(「アベノミクス」)が始まった2013年以降一貫して増加を続けている(野村総合研究所)。
失業者の、「家賃や生活費が足りない」「先が見えず不安」…と言った、切実な、切迫した声が連日報道される中、富裕層・超富裕層の「消費や生活の変化」をみていくと、「健康や体力増進に関する意識が強まった。65%」「家族との会話やコミュニケーションが増えた。51%」と、続いており、日本の社会に対して、複雑な心境にならざるを得ない。
私は、1980年代 社会福祉学部 社会福祉学科に入学した。当時は雇用機会均等法と消費税が国会で議論されており、1985年にプラザ合意が発表されたとはいえ、経済はまだまだバブル真っ只中。
そんな中、「女性の有効活用」という文字に大きな違和感を覚えた。
有効活用って!物か?と。
資本論は、商品の分析から始まる。マルクスの言う、剰余価値説は資本主義の根本を説明していると思った。そう。そうなんだよな。人は生きとし生ける人ではなく、資本主義的生産様式においては、商品なのだ。労働力商品。
商品ゆえに、不要になれば買われず、必要になれば高値で売買される。さらに不要になれば、今はやりの断捨離よろしく、断捨離されるのである。しかし、人はモノではない!。
考え、感じ、関与したい、生きたい、生物ではないのか。
人。今の社会における、人って何だろう。
コロナ禍の失業者、生活困窮者。労働力商品として価値のない者。
アディクションは、不快な感情の回避、自己治療と言われる。まさに、不安や怖れ、孤立が蔓延する世の中において、大麻の「使用者」が増加し、ストロングチューハイが売れまくるのは、その証なのだろう。
シュンペーターは「資本主義は生き延びることができるか。否、できるとは思わない。」「資本主義の非常な成功こそが、不可避的にその存続を不可能ならしめる。」と、言い切っている。
日本はこれからどんな社会になっていくのだろうか。
明日は我が身なのだということを肝に銘じたい。

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