孤立
- shinichiro honma
- 2020年5月18日
- 読了時間: 2分
更新日:2020年5月20日
孤立。なんと言う希望の薄い言葉だろう。
「8050問題」と呼ばれるひきこもり世帯の「孤立死」が2016年~2018年の3年間で少なくとも14件、28人が亡くなっていた。と、毎日新聞が報じた。
「8050問題『親亡き後の死体遺棄事件』を生む悲惨」(池上正樹ルポ)では、社会と繋がれないことで生きる希望を失ってしまうプロセスが描かれている。
「助けて」さえ言ってくれれば…生きているだけでいい。(レターポストフレンド相談ネットワーク:田中敦理事長)
それが言えない。
生きているだけでいい?本当。
ではなぜ、生きているだけいいというメッセージが彼らに届かないのだろう。なぜ「助けて」と言えないのだろう。
「孤独」は国を挙げて取り組む社会問題であるとし、2018年イギリスでは「孤独問題担当国務大臣」を置いた。「対孤独戦略」と銘打った報告書で、イギリス政府は「孤独」について次のような定義を採用している。
「人付き合いがない、または足りないという、主観的で好ましくない感情」「社会的関係の質や量について、現状と願望が一致しないときに感じる」としている。
政府主導ではあるが「孤独について語ろう」キャンペーンも行われている。
また、「孤独はスティグマ(汚名・恥辱)とされ、認めることは克服しがたく感じられるかもしれない」と指摘。
自分が孤独だと認めることは「弱さの表れ」と考えたり、「他人を煩わせたくない」と思ったりするからだという。
イギリス政府の目標は「それぞれに友人をつくることはできなくても、よりつながりのある社会を創造する」というものだ。
そう、孤独も、助けを求めることも、スティグマだとの指摘は正鵠を得ていると考える。
コロナ禍で失業者や経済苦による自殺者も増えると予測されている。
不安や怖れの中にいる人間は、健全な判断が阻害されている。ましてや、自己決定などできようもない。実体験も含め。しかし、世間(強者)はそれを求め、応えられなければ手を放す。まさに孤立。助けを求めない理由が増えていく。
生きているだけでいい。本当ですか?生きていて、いいんですか?助けを求めていいんですか?
助けてくれますか?
明日は我が身。

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