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「路上生活者」の死

  • 執筆者の写真: shinichiro honma
    shinichiro honma
  • 2020年11月29日
  • 読了時間: 3分

更新日:2020年12月3日

衝撃だった。

「異物」を排除するという「差別」的な発想にではない。そんなものは枚挙にいとまもなく、届かない声に自身のマイノリティさ加減を嘆き、指をくわえる毎日だからだ。

衝撃的だったのは、「固い」ものを入れた袋で人の頭部を殴り、その目的が「痛い思いをさせればあの場所からいなくなると思った」と言う理由だからである。「痛い思い」!ふざけるな!

頭部を固いもので、さらに、おそらく遠心力も加わった力量で殴打すれば致命的な損傷を与えるという想像力の欠如が衝撃だった。それほどまでに「異物の排除」が先行し、人の冷静な思考力を奪っているのかと思うと、末恐ろしい。


社会は確実にゴッサムシティー化している(いく)と、私は思う。


コロナ禍において、自殺者も増えている。

しかし、職を失い経済的にいきづまる中高年男性が中心ではない。

女子中高生の自殺。女性の増加幅が大きい。ウェルテル効果(有名人の自死)によるものもあるのかもしれないが、コロナ化によって顕在化した様々な要因が、彼女たちの心を追い詰めている。


それまでもあった苦しみ、悲しみ、辛さ、不安、恥、孤立。


このコロナ禍において、政府は様々な対策を実施している。しかし、現政権ががんと譲らないのは、「経済」。経済は貨幣(デジタル含め)を血液として循環させることで成り立っている。だから、血液の流れを止めることができないのはわかる。


日銀の金融資産保有高は600兆円超、日本の国家予算が100兆ほどだからその規模がうかがえる。実体経済が不調ゆえ、株価が下がれば企業の資金調達に影響する。資金量が同じなら、株価が下がれば大幅に保有株数が増え、議決権に影響を及ぼす事態も。外国資本に牛耳られないため、ハゲタカファンドに狙われないためにも、株高を維持しなくてはならないと言う理屈もわかるようなわからないような。

そしてその資金を支えるのが国債、年金等保険料積立金だ。国債は、富裕層、大企業、金融が買い支える。国債には利回りがあり、株高も維持される。

タコが自分の足を食べて生きながらえているようなものだが、ミソはその先である。

足がなくなれば、税の投入による公的資金救済である。


自助共助公助と言うキーワードはここには用いられない。


しかも、その税は、国民全体が負担するのである。


株高を維持するためには、実体経済を無視できない。だから、さらなる労働力の流動化が求められる。簡単に言えば、クビにしやすい仕組みづくりである。


「路上生活者」の所持金が8円であったとセンセーショナルに報じられるが、8円の所持金の訳は富裕層の金融資産残高299兆円、大企業の内部留保400兆円超に直接関係している。



シュンペーターは

「資本主義は生き延びることができるか。否、できるとは思わない」と述べている。

マルキシズムは死んだ!と言われるが、私には、ますます輝きを増してゆくように見える。


二極分化によるゴッサムシティー化か、新たな仕組みづくりに目が向くか?


ダボス会議。SDG’s。


大林三佐子さんのご冥福をこころからお祈りいたします。


コロナがわれわれに訴えるものはなんだろうか。







 
 
 

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