これでよいのだろうか。
- shinichiro honma
- 2020年5月31日
- 読了時間: 3分
「新型コロナが追い打ち『月収10万円』貧しさの現実」(日経ビジネス2020/05/26河合薫)
河合さんは、のちに「8050問題」へ発展する内閣府ひきこもり調査にKHJ全国ひきこもり家族会連合会とともに疑義を持たれ発信したおひとり。
39歳までを対象とした調査の再調査時に、それまで39歳までのひきこもりにカウントされた方々は、どうなったのだ?ひきこもりは解消したのか?という至極当然の疑問を呈し、内閣府も重い腰を上げ調査を実施。結果は39歳以下のひきこもり54万人を超える61万人が40歳以上のひきこもり(状態)であると発表され、「ひきこもり100万人」「8050問題」などとして社会に衝撃を与えた。
以来、河合さんの記事はわかりやすくデータもふんだんに使用していることからチェックさせていただいてきた。
「新型コロナが追い打ち『月収10万円』貧しさの現実」に書かれる現実は、まさに政府が胸を張る「世界と比べ最大規模の経済対策」が「貧しさ」に対して有効なのか考えさせられるものだ。
OECD(経済協力開発機構)による相対的貧困率はG7(先進7か国)でワースト2位(1位はアメリカ)。
基準等は記事を参照していただきたいが、貧困ラインは年収122万円。月の所得は10万円程度。
その生活さへ、コロナで途切れていく。
スピード感をもって実施すると一律支給にしたはずの特別定額給付金もいまだ必要な方々の手に届いていない。数回実施するとかしないとか。とにかく未知は不安につながる。
そのような中、ベーシックインカムの議論がにぎやかだ。
「個人的には今こそ、『ベーシックインカム(最低限度所得補償)』を導入したらいいと考えている」(河合)「ブレグマン氏は『Poverty isn’t a lock of character,it’s a lock of cash(貧困とは人格の欠如によるものではない。貧困は現金の欠如によるもの)』と説き、ホームレスなどは最初から怠惰だったわけではないし、貧困層が薬物をより頻繁に摂取するのは、基本的欲求(寝食住)が満たされていないからだと訴えた。」(河合)
貧困と人格が同一視されるからスティグマが発生する。だから生活保護の申請もためらわれるのだろう。申請しても、濫給防止の水際対策としての「働けるでしょう」の一言に傷つきSOSは封印される。
「現金の欠如」がもたらすものが「貧困」。なるほど、確かにそうだ。
仙人のように達観(諦観)して生きる道もあると言う人がいるかもしれないが。日本の現状は、「現金の欠如」と社会との断絶が比例していく構造だ。つまり「現金の欠如」は、“つながり”からの受動的撤退であり、不安と怖れ、恥を抱える孤立(生存の危機)への道なのだと思う。
厚労省はコロナ禍における生活保護申請に際し、柔軟に対応するよう通達を出した。対面に限らずオンラインを利用し、資産の有無(持家・車など)も厳格に適応しないとのこと。
不安があれば、申請相談していただきたいと強く思う。住居を失う前に。住居を失うと、生活場所を選べなくなってしまうからだ。
「4月以降シングルマザーからの相談が急増し、『こどもがおなかをすかせていても、食べさせるものがない』『公園の水や野草で空腹を満たしている』などの驚くべき内容もあった」(NPO法人しんぐるまざぁーず・ふぉーらむ 赤石千衣子理事長)
NHKのレポートでは、派遣切りにあった外国人労働者(シングルマザー)がユニオンに相談し、社会福祉協議会の生活福祉資金貸付制度を利用しようとしたところ、所持金100円、おむつも買えない状態を“緊急性を認めない”という事態を報告していた。
日経平均が22,000円を超えたとのこと。
日銀はそれこそ“空前絶後”の資金をつぎ込んでいく。
これでよいのだろうか。
追記 6/1記事
スペイン、ベーシックインカムを承認
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6361292

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