コロナの功罪…
- shinichiro honma
- 2020年7月17日
- 読了時間: 3分
更新日:2020年7月17日
「ネットカフェ難民があんなにたくさんいるなんて、知らなかった。何とかならないんですか?。」(ネットカフェがコロナ感染防止の見地から休業要請を受け改めてネットカフェ難民がクローズアップ)と、クライエント。
2007年(平成19年)、住所不定でネットカフェに泊まり歩きながら生計を立てている若者を密着取材し、「ネットカフェ難民 漂流する若者たち」と題したドキュメンタリーが放映された(wikipedi)。
若者というものの、ひきこもりと同じように、年齢層は幅広い。非正規雇用が中心で、男性が6割という報告もされた。
東京都保健福祉局、厚労省の調査などから、4000人とも、5000人ともいわれる人々の中で、50代が3割近くを占め、路上生活と併用している実態も見えてきた。
不安定な雇用。安定しない住居。将来への不安。政府が推し進める労働力の流動性化や、グローバリゼーションに対応する財界戦略の結果であって、決して他人事ではないと強く思う。
生活の拠点となっていたネットカフェがコロナ感染拡大による休業要請で「ネットカフェ難民」は行き場をなくした。ホテルなど宿泊施設の用意や、NPOによる支援はあるものの、自治体によりばらつきのある施策、恒久的ではない、緊急避難的な対応により、彼らは本来の意味での「難民」になりつつある。
コロナの功罪。罪については言うまでもないが、誤解を恐れず言えば、社会的(経済的)弱者の存在が改めてクローズアップされたことは功だろうと思う。
国民一律の特別給付金については、富裕層から、「私がもらっていいのですか?」などと揶揄する意見が多く聞かれたが、振り返れば、所得や資産の把握の後の給付では、間に合わないという火急性ゆえの策だった。未だ支給されない世帯が多いことは残念だが。江戸川区が必要緊急性に応じた申請を受付け、その緊急性に応じた順に支給するという策を講じたのはこの施策の趣旨を心得た対応ではなかったかと思う。
年収120万円以下で子育てを余儀なくされるシングルマザー。簡単に雇用を打ち切られる非正規労働者。年収300万円に満たない世帯が3割を超える実情。ひきこもりや虐待の実態。生活保護申請者の急増…職業柄、私の周りではこれまでも、いまも、おそらくこれからも身近であると思う。
一方、苦しい旅行業界ではJTBが冬の賞与カットを発表。日本の企業382万社のうちわずか0.3%の大企業に全従業員の3割ほどが勤めている。確かに、収入が減じるのは簡単な話ではない。しかし、明日をも知れぬ、10万円の特別給付で食いつなぐ非正規労働者と比せば、給与は支払われるのである。しかも、大企業の夏のボーナスは平均で92万円余り 前年比6%減少とNHKが報じた。コロナ禍で、雇止めやコロナを理由にした解雇(しかも雇用調整金を申請しない悪質なものも)の嵐が吹き荒れる最中に、給与は支給され、且つ賞与が6%を減じるのみなのである。と、思ってしまう。
食料が絶たれたら(飢餓)、痩せた者から倒れるのは道理。400兆円以上も内部留保を蓄えていれば、食料の再来を待てるのかもしれない。
金融緩和と未曽有の資金投入で株価は持ち直している。年金基金や日銀が投入する資金量は国民一人当たりに10万円支給するよりはるかに大量だ。その結果、3月に16,552円まで落ち込んだ株価が22,696円まで戻している(7/17)。
富裕層はいち早く資産を取り戻したといえる。
コロナ禍が去った後、「年収120万円以下で子育てを余儀なくされるシングルマザー。簡単に雇用を打ち切られる非正規労働者。年収300万円に満たない世帯が3割を超える実情。ひきこもりや虐待の実態。生活保護申請者の急増…」に光は当たっているだろうか。
流れてくる情報に接していると、ますます社会が二分されるような気持になる。
「くるしい」「助けて」という声が、社会に届く世の中であってほしいと強く願う。
「ネットカフェ難民があんなにたくさんいるなんて、知らなかった。何とかならないんですか?。」・・・みんなで考えられる世の中にしなくちゃね。

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