個への集中支援を
- shinichiro honma
- 2020年12月15日
- 読了時間: 3分
更新日:2020年12月15日
ワイドショーに出演した政治評論家 田﨑史郎氏は「リーマンショックの時には大企業が苦境に立たされたが体力があったため事なきを得た。しかし、コロナ禍の今は、体力のない人々が苦境に立たされている。大変心配だ。」続けて、「そのような中、GoToキャンペーンを止めれば、自殺者が増えると言う人もいる。」と、語った。
景気刺激策(GoTo)をやめれば自殺者が増えると言う。それは、風が吹けば桶屋が儲かる的な短絡的で、消えゆく命、深く暗い不安に打ちひしがれているであろう人々の絶望を思いやることのない容赦ないプロパガンダだと私は思う。
「GoToトラベル延長に1兆円計上へ」の記事が、キャンペーン停止の翌日に紙面を飾る。
そもそも、なぜ観光業態だけを国(税)が扱うのか。感染者が増え、医療福祉分野に関わる労働者や高齢者が利用しにくい観光業態になぜ、これほどこだわるのか。なぜ停止によるキャンセル料を国(税)が負担するのか。疑問ではあるが…
時短延長を要請される飲食業界の悲鳴もまた、痛々しい。自粛に近い要請に応じる飲食店もあれば、応じられない事情でサービスを提供する飲食店もある。
キャンペーンを利用した旅行は停止となるが、通常の移動は自粛。飲食業も含め、一貫しない感染対策の中で、感染者は増え続けた。
結果的に、真面目に応じる側がより不利益を被る形になり、事業(経営)が行き詰まりを見せている。
それぞれ、補償を!と。50%補償だとか、120万円の補償だとか、補償という言葉が行き交う。
しかし、どこか納得がいかないのは、事業というのは自由に行われるもので、補償に馴染むのなのかと思うからである。本来あるはずであった収入を補償するのは理解に苦しむ。
しかし、事業が立ち行かない状況の中で、その結果、個人の生存が脅かされるとすれば、そこはしっかり支えていかなければならないだろう。
事業への補償は利息や返済期限の延長、審査の簡略化等による融資がコロナ禍をしのぐ対策にならないだろうか。
一方で、個への支援は躊躇わないでほしい。
GoTo停止の補償は一日で35%から50%へ引き上げられ、延長のための1兆円計上が同日に紙面を飾る。
キャンペーンを止めれば自殺者が増えるという脅しのようなネガティブキャンペーンを垂れ流さないで、ぜひ、助けがあることを、やさしく、丁寧に、配慮をもって伝えてほしい。。住宅確保給付金、休業支援金など、特に、生活支援要件の大幅な緩和の実態を、新聞の一面に、トップニュースで知らしめていただきたいと強く思う。
人は、先の見えない不安に弱い。「出口に光が見えなければ前に進めない。」何とかなるさ。ケセラセラとはいかないのである。
田﨑史郎氏は図らずも、大企業は体力があるから持ちこたえられた。と、語った。そう、企業の内部留保、富裕層の資産、日銀の資産(実体経済が株価と等価となる時)を考えるとき、それを支える個への厚い支援が望まれる。
その結果生まれる安心は、この国に生きる国民全体への強いメッセージになると思うのは私だけだろうか。

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