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残念なこと

  • 執筆者の写真: shinichiro honma
    shinichiro honma
  • 2020年9月14日
  • 読了時間: 2分

残念なこと。

刑務所を満期出所された方と関わり、地域で生活する基盤を整える大変さ、多くの方の力を必要とすること、精神科医師との連携が欠かせないこと、何よりも忍耐強く一歩先を見据えたかかわりが要求されること。経験し、頭ではわかっていても。改めて実感。

振り返って、なにが「問題」だったのか?。


「あれ」が、なければ「こうならなかったのか」。

彼は、再犯に至り、おそらく塀の中へ戻ることになるだろう。ご一緒したのは、2か月と少し。

ご本人は「最長記録ですよ!」とうれしそうだった。最長記録とは、シャバでの“滞在日数”らしい。

信じがたいが、少年刑務所を経て、50代まで、ほぼ刑務所内で生活してこられた。

出所してから再犯に至るまでの関りを振り返れば、いくつも「問題」は見つけられる。しかし、何がいけなかったのか?と問われても、どれも、おそらくは理由にならないだろう。いや、すべてが理由になるのだろう。

「癖」とは、そういうものと心得ている。

そうなりたくない。そうしたくない。のに、そうなってしまう。

認知、思考、感情、行動がオートマティカルに連動してしまう。

彼を、大切に、そのように意識して関わった。彼も、そう感じていた瞬間があったならと願う。

しかし、「大切」とはどういうことだろう。

SMAPの「たいせつ」の歌詞に、

“たいせつだって思うとき

スゴク素直なんだ

    やすらぐんだ

    強くなれてるんだ・・・

    みんなひとりなんだ

    不安なんだ

    愛がささえなんだ“

なるほど、って思う。オキシトシンの効用や分泌時の状態が理解できなくても、人はそういうものなんだな。

劣等はある種「個性」だから、劣等ではなく、劣等感。人との違いに、悲しみや強い憤りなどを伴う体験や、認知(合理化)を併せ持ち「劣る=疎外=愛されない=大切にされない」というコンプレックスに置き換えて生き延びる彼等。ホーナイは、「劣等感は所属感の欠如」だと言っている。所属感を欠いては、人は、生きていけないのだ。生存はするけれど。戦場で弾を避け逃げ惑うかの如く。

刑務所が、矯正・更生から少しづつシフトしている。少しづつではあるが、変化しているという点では180度の転換だ。懲罰のみならず、人として大切に扱われる体験を、行動障害(衝動制御障害)があるからこそ、社会から隔絶された場所で行えないものだろうか。

北欧などの刑務所では、すでに行われている。



人は大切にされなければ、幸せにはなれない。

幸せでない人は、幸せそうな人を恨んで生きることになる。

たいせつにされたいし、したい。

私にはできているだろうか。

 
 
 

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