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生活保護ケースワーカーという仕事

  • 執筆者の写真: shinichiro honma
    shinichiro honma
  • 2020年7月1日
  • 読了時間: 3分

更新日:2020年7月1日

刑務所を満期出所された方とのかかわりを数名(6月)。


覚せい剤取締法違反により刑の一部を猶予された方々(保護観察:社会内処遇)とのかかわりは長く続けてきた。彼らは、いわゆる仮釈放後の保護観察期間(かつて)であり、満期出所とはまるで性格が異なる。

本人が好むか否かは別にして、長くかかわることで、信頼関係や相談関係を築くことがより可能になる。矯正、更生一辺倒からの脱却であり、帰住先や支援者、医療機関の選定など出所後の準備も可能になる。

「こんなことなら満期のほうがよかった」という方もおられるのだが…。


最近かかわらせていただいた満期出所の方々。

支援の「し」の字もない状態で刑務所を出る。何が幸いするかわからないが、連絡をいただき、関わらせていただくことになった。


高齢でもなく、障害も特定できない、所謂普通の人は、特別調整(平成30年度版 犯罪白書第7編/第5章/第1節/1 参照)も適応されない。


したがって、ただ塀の外へ出るのである。


身寄りもなく、住む場所もなく、所持金はせいぜい数万円(多い部類に入る)。出所は不安でいっぱいなのではないだろうか。


精神的に落ち着かない状況のなか、所内で受診される方もおられる。診断は確定せず、「疑い」。確定診断となれば、精神障害の枠を利用することも可能になるのだが…。

使える資源が何かあるのではないかと探すが、皆無。コロナ自粛の中、保護観察所と刑務所をつないでリモート面接を行うも、ご本人の希望は、「住むところがあれば…」と、切実だ。


刑務所の出所時間は8:30。レンタカーを借りて迎えに行く。待合室もないという。仕方がないので早朝出発して間に合わせる。交通費は公共交通機関以外は規定がないとのこと。

十分な衣類や生活日用品も持たず、ただ身一つで出所する。言葉が適切でないかもしれないが、すべてかかわる側の持ち出しである。


出所後そのまま生活福祉課へ直行する。生活の基盤を整えるために、まずは生活保護の申請と住居の確保から始まる。

生活保護は住所地保護になるので、居住実態がない状態ではアパートは借りられない。まずは保護施設含め宿泊施設を探し、生活保護申請となる。


事前に相談していた(かなり綿密に)とはいえ、やはり現実は厳しく、タイムラグも発生し、じりじりと時は流れる。


成育歴、生活歴の中で不信を学び、コーピング(対処行動)としての犯罪から人生の大半を刑務所で過ごすこととなった方々。。


生活保護ケースワーカーの杓子定規ではない、丁寧で、親切な対応には、同行する私自身が勇気づけられる。ご本人も、受給できるという事実に希望や安心を得るのではないだろうか。自己責任的な言語は私たちからは一切出ない。


刑務所に限らず、不安を持たれている方々の生活を底支えする生活保護行政。それを司る、生活保護ケースワーカーという仕事が、とても素晴らしく思えた6月であった。


こころより感謝申し上げます。

ありがとうございました。






 
 
 

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